僕を待ち伏せていた白髪男…

コピーライター:山田光彦

From:山田光彦

「………知ってるか?」

ボサボサ白髪頭の男が東京駅の切符売り場で、
いきなり、僕に話しかけてきた。

声が小さかったので
よく聞き取れませんでした。
でも、その男は「ぼそっ」と
見ず知らずの僕に、こうつぶやきました。

その男はパッと見た感じ、年齢は50才以上。
着ているシャツの丈は太ももまである少し大きいもの。
少しくたびれていたので、胸元がかなりあいていました。

僕は終電の時間が迫っていたのと、
直感的に避けたほうがよさそうだと感じたので、
無視して切符を買おうと思ったのですが、

僕はこの男の提案を受け入れて、
1万2000円を渡すことになったのです。

 

なぜ、初対面の白髪男に
1万2000円を渡すことになったのか?

というのも、先週の土曜日。
僕は店舗集客サミットを終えて、
大阪に新幹線で帰ろうとしていたのです。

東京駅に着いたのは、20時30分。

終電まで、そんなに時間がなかったので、
少し急ぎ足で、みどりの窓口へ向かいました。

 

そして、みどりの窓口にできた列に並び
もう少しで僕の順番が回ってくるとき。

列がすすんでいる方向とは逆の方向、
みどりの窓口の方から、こちらに向かって、
白髪頭の男性がゆっくりと歩いてきました。

そして、、、
僕の目の前で“ピタッ”と立ち止まり、
“じーっと”僕のことを見ています。

 

「僕が邪魔になっていて、
 前に進めないのかな?」

そう思って、
僕は体を少し横へ移動させて、
1人なら十分通り抜けられるスペースを空けました。

 

でも、その白髪男はまったく動く気配もなく、
立ち止まったまま、こちらを見ています。

 

直感的に僕は避けたほうがいいと感じて、
無視して切符売り場の方へ歩いて行こうとしたとき、、、

その白髪男はこう言いました。

「………知ってるか?」

声が小さすぎてよく聞こえなかったので、
無視してそのまま行こうとすると、
今度はハッキリとこう言いました。

「大阪に行く人、知っているか?」

 

歩きながら、
僕はこう答えました。

僕「知らないですけど、僕はこれから大阪に行きます」

男「おー!じゃあ少し助けてくれないか?
  というのも、ワシは大阪に行く予定だったんだけど、
  急に行けなくなって、往復の切符が余っていて困っている。
  だから、この切符を使ってくれないか?」

僕「別にいいですけど、僕は大阪に帰るだけなので、
  往復じゃなくて、片道ですよ」

男「片道だけでも助かるわ。
  1万2000円にしておくから」

そして、白髪頭のおっちゃんは、
みどりの窓口の係の人に
慣れた感じで話をすすめ、
僕の新幹線の席を取ってくれました。

そして、僕はみどりの窓口の人から切符を受け取り、
おっちゃんに1万2000円を渡したのです。

 

みどりの窓口で手続きをしている間に
白髪頭のおっちゃんに少し話を聞いてみると、
声をかけたのは、僕が1人目。

「新大阪ー東京」間の新幹線の切符がいる人を探すためには、
みどりの窓口に来るのが一番いいと思ったらしいのです。

※話してみると、
  感じのいいおっちゃんでした。

 

新幹線の切符を「どこで」売るのか?

その辺を歩いている人に声をかけて、
「新大阪ー東京」間の新幹線の切符がいる人を
見つけようとしていたら、

100人に声をかけたとしても
たぶん、見つけることができなかったでしょう。

でも、このおっちゃんは
切符が必要な人が集まる場所に行くことで、
すぐに切符が必要な人(つまり、僕)を見つけ、
切符を売ることができました。

(チケットショップに持っていくという方法はありますが…)

新幹線の切符を売るときに限らず、
コピーライティングでも、
「どこの」「誰が」コピーを読むのか?
はとても大切ですよね。

 

たとえば、、、

ダイエット系の商品のコピーなら、
男性より女性にコピーを
読んでもらった方が売れるでしょうし、

コピーライティングを教える商品のコピーなら、
大学生よりもビジネスをしている社長に
コピーを読んでもらった方が売れますよね。

 

どうせコピーを読んでもらうなら、
買ってくれそうな人たちに
読んでもらったほうがいいですよね。

 

「あなたの商品を買ってくれるお客さんは
どこにたくさんいるでしょうか?

そして、そのお客さんに
あなたのコピーを読んでもらうには、
どうすればいいでしょうか?」

この質問を使えば、
白髪頭のおっちゃんのように
あなたの商品を売るのに
ピッタリの場所がどこか見つかるかも、、、

 

ー山田光彦

 

PS.
僕は新幹線に乗ってから、
おっちゃんの言っていたことが
少し矛盾していることに気がつきました。

「大阪に行く用事がなくなったから、
往復の切符が余って困っている」

そう言っていたのに、
持っていた切符は2枚とも
新大阪から東京行きのものだったのです。
(みどりの窓口でのやり取りを思い出して、わかりました)

なんとなく気になっているのですが、
今となっては、もう理由はわからないですね。。。