レンズを意識していますか?

見込み客がどんなレンズを通して物事を見ているか、を考えることは、我々コピーを書く人間が考えるべきとても重要なポイントです。

FROM:寺本隆裕

僕らは全員例外なく、自分の持っている「レンズ」を通して物事を見ています。純粋に物事を客観的に捉えることは難しく、ほとんどの場合、その物事について主観的な評価をしてしまっています。

今日はその「レンズ」についてお話しします。

以前、ツタヤにDVDを返しに行った時のこと。

返却期限はその日の朝10時。ツタヤまでは車で通常10分ほど。その日は日曜日だったので、朝返しに行けばいいやと思っていたのですが、うっかり忘れていて気づけば9時50分を過ぎていました。

「ヤバい!」

と急いで家を出ようとしたところ、息子の隆星(3歳)が「行きたいー」と言い出します。嫁さんも、「連れて行ってあげたら?」と言うので、急いで上着を着せて靴下と靴を履かせ、チャイルドシートに乗せます。

そのロスタイム。3分。

通常よりもだいぶ急いで行かないといけなくなってしまったのです(急いでも間に合わないかもしれません)。

返却期限を少しでも過ぎると、高い延滞料金がかかります。
少し、イライラしながらエンジンをかけて、駐車場を出ました。

運良く赤信号にひっかからず、順調にツタヤに近づいて行きます。「これなら、間に合うかも」そう、思っていました。後ろの席で隆星は鼻歌を歌ってご機嫌です。

でも・・・踏切に引っかかってしまいました。
ちょうど遮断機が下りてくるところでした。

しかも踏切に表示されている、電車の進行方向を示す矢印は両方向。つまり、2方向の電車が通り過ぎるまで、数分間待たないといけないことを示していました。・・・もう、間に合いません。

「だから一人で来た方がよかったのに!」
「すぐに出たら間に合ったかもしれないのに!」

踏切のカンカン・・・という音を聞きながら、イライラはマックスに。。。

そのとき、後ろから声がしました。

隆星:「わーい。電車、来るかなぁ。」

その瞬間、ハッとしました。
自分の中で何かが大きく変わったのがわかります。

電車が通過すると、

「やったー。電車見れてよかったねぇ、パパ。」

どんなレンズで物事を見ていたか?

完全に、僕は電車を、自分のレンズを通して「邪魔者」として見ていました。行く手を阻む邪魔者。自分にイライラをもたらす悪者です。つまり自分勝手な評価をしていたわけです。

でも、そのレンズは一瞬で別のものになりました。
そしてそのレンズを通して見ることで、電車は「楽しいもの」へと変わったのです。

同じものを見ているようでも、通すレンズが違えば、全く別のもののように見えるのです。

反省しました。
と同時に、勉強させてくれた息子に感謝です。

イライラは一瞬で吹き飛びました。
そして、せっかくのこのドライブを楽しもう。そう思うようになりました。

踏切が開いた後、ツタヤには安全運転で行きました。
鼻歌を歌いながら・・・

到着した時は10時をとっくに過ぎていました。
結局、たとえ一人で来たとしても、踏切にひっかからなかったとしても、間に合わなかったのです。

僕は少し損した気にはなったものの、延滞料を1500円ほど支払い、ツタヤを後にしました。帰りに自販機でアイスを買って、二人で食べました。

「そっか、もったいなかったね」

帰ってから、間に合わなかったことを嫁さんに言うと、こう言われました。

もしもレンズを変えずにイライラしていれば、

「隆星つれてけなんて言うからやろ!」
「踏切が悪い!」

などといって、ムダに険悪になっていたかもしれません。

でも僕はそのとき「そやな。まぁ授業料やで。今度から忘れんように前日に返すようにするわ。電車も見れたし楽しかったしな。」そういう、余裕の返しができたのです。

あなたのレンズは?

人とのコミュニケーションや、ビジネス上起こる事象について、あなたはどんなレンズを通して見ているでしょうか?

あなたはその事象の「事実」を捉えているでしょうか?それともそれは「あなたの個人的な意見」でしょうか?

彼は信用できない。というのは事実でしょうか?意見でしょうか?
この商品は売れない。というのは事実でしょうか?意見でしょうか?
自分には無理だ。というのは事実でしょうか?意見でしょうか?

自分自身が「レンズ」を通して見ているということに気づくことだけでも、世界は広がります。

見込み客のレンズは?

彼らはそのことについて、今までどんな経験をしてきているのでしょうか?
彼らはそのことについて、どんな感情を持っているのでしょうか?
彼らはそのことについて、どんな思い込みを持っているのでしょうか?
彼らはそのことについて、どんな「レンズ」を通して見ているのでしょうか?

例えば、「ネットワークビジネス」と聞いて、いい印象を持つ人と悪い印象を持つ人がいるのはなぜでしょうか?

今日の話で、参考になりそうなことや気づいたことについて、コメントでシェアしてください。ヒントがいっぱい詰まっている・・・はずです。

PS
「レンズ」については、実は先日のメンバー限定ウェブセミナーで話しました。顧客のリサーチの部分です。間もなく録画ビデオがアップされるので、見逃さないように・・・

http://www.theresponsecopy.jp/allinone/


Facebookにコメント

  1. 髙栁 晴康 さん: 2010年11月05日 02:45

    ありがとう、寺本さん。 余裕の再認識させて戴きました。 業界トップノッチの2人使ってても、連中が出来ない時事、ままあり、イライラを見せつけた事もあった俺でしたが、仕事、客の量を俺独りでこなす、もしくは、他に仕事の出来る人間探すとかは、不可能に近いと、「感謝」をまず押し出して応対する人間になって居た「ハズ」でした。 が、しばらく焦りが出て来ている自分を、寺本さんのフライヤー読んで気付きました。 Simply, “Appreciated” です。 ありがとうね、寺本さん。

  2. 沖田 さん: 2010年11月04日 00:06

    いい話だったんで、ちょっと微笑んでしまいました。

    お客さんの現実と合わせて話をする、
    ということはいつも意識していても
    しきれていないな、と感じます。

    何を話すにしても、
    彼らの現実に沿って話さないことには
    そもそも聞いてももらえないですよね。

    あらためて、意識していこうとおもいます。

  3. 笠明廣 さん: 2010年11月03日 14:38

    大変良い話です。
    自分だけのものの見方、考え方、
    先入観が入りレンズの商店がボケて、正しい判断が
    できにくくなります。
    同じ物を見ても感じ方、言葉の表現の仕方、
    同じ意味でも微妙にニュアンスが違うと思います。

  4. お囃子 さん: 2010年11月03日 12:41

    いつもありがとうございます。

    人と接していると様々なレンズがあることを実感します。
    「7つの習慣」のレンズ(本の中ではメガネ?)の話を読んだ時に、
    今までの世界が違った世界に見えたのを覚えています。

    自分は結構特殊なレンズ(変わっているという意味で、、)を持っているようで、
    他人のレンズに興味があり、人の行動や言動を観察するのが好きです。

    特に若い人のレンズに興味があり、どんな価値観を持っているのだろう・・、
    と観察してしまいます。
    イラッとしてしまうこともありますが、なるべく受け入れるように
    しています。

    事実を直視することは、時に辛いことではありますが、
    前向きにとらえていきたいものです。

  5. 三宅達也 さん: 2010年11月03日 12:36

    今日のお話はすごく勉強になりました!
    ゾクゾクしながら読ませていただきました。。。

    僕も以前、返却日の勘違いでTSUTAYAに延滞金を取られたことがありました。
    そのとき、母に

    『延滞金取られてもうた!店員の言うてた日付けとちゃうし!』

    って愚痴を言ったら

    「ほんならこれでもう、間違えることないな。一個賢なってよかったやん。」

    というやり取りがあったのを思い出しました。

    まさに自分がどう見ていたのか?どういうレンズで見ていたのか。
    捉え方ひとつですよね。

    そしてこのコトバひとつで、一気にイライラが収まったのを覚えています。

    自分自身にも、相手にも、このレンズの通し方を変えることで
    自身の心にもビジネスにもお客さんを理解する気持ちにも
    大きな変化が起こすことができるヒントをいただきました!

    すばらしいお話をありがとうございました!

  6. 池城安敏 さん: 2010年11月03日 11:34

    素晴らしい!手放しで素晴らしい話。宗教的な意味で、文句なく素晴らしい!

  7. 斉藤貴之 さん: 2010年11月03日 10:23

    日常会話の中でも他人と意見が合わない時、
    自分の意見を正当化する為、

    『普通はそうじゃないでしょ・・・』

    などと言って、あくまで自分の意見が“普通”であり、
    相手の意見は間違っていると訴えるケースがあります。

    意見の相違はお互い自分の意見が正しいと
    思っているからこそ起こるのであり、それを
    客観的に判断出来れば、解決法も見つかり
    やすくなりますね。

    その場合、寺本さんがおっしゃるようにレンズを
    通して見るといった発想や双方の意見を上から
    俯瞰して見ることが大切です。

    物事には多面性がありますので、
    その事象には、全て起こるべくして起こった
    何らかの理由があると意識することが大切では
    ないでしょうか。

  8. 宮崎 さん: 2010年11月03日 09:32

    子どもには教えられることがたくさんありますね。

    だいたい、イライラするのは自分のレンズで物事を見ている時であり、
    それ自身が事実(真実)ではないですもんね。

    子どもをクルマに乗せるって決めた時点で、目的が
    変わってしまっていますしね。

    私も、家族と出かけるときは、
    以前は、妻や子どもの準備が遅いとイライラしていました。
    この時点で私の目的と家族の目的が違っているんですよね。

    そんな時の私は、目的地に少しでも早く着くことが
    目的になってしまっていましたから。

    家族にとってはいい迷惑です・・

  9. 伊 野村 さん: 2010年11月03日 09:25

    一つの現象に対する人それぞれの感じ方・考え方はその時のその人の状況で大きく変わりますね。

    以前にある仏教の教えについて学んだなかに
    仏のモノサシ(物差定規)と人のモノサシという内容がありました。
    われわれ日常生活の中では物事の現象や人の行動や意見を自分自身のモノサシで判断してしまい良いとか悪いとか言っているがそれは正しくない。
    仏のモノサシで判断し行動できるようにした方が良い。と
    そうするには「”仏(如来)”と”仏法”と”それを導いてくれる仲間”を信心し帰依することです」。と
    そのような教えだったと思います。

    仏のレンズで物事が見られるように勤めたいと思います。

  10. 寺本さん
    おはようございます

    今日は久々に朝からレスポンスを読んでいます。

    リューセイくん
    なかなかいい仕事をしましたね。

  11. 酒林ゆき さん: 2010年11月03日 08:24

    とってもいいお話でした。
    私の息子がまだ幼い頃、同じ体験をしました。
    その時から、踏切で足止めを食うのは、電車にバイバイできるチャンス♪と考えるようになりました。
    自転車の前のシートに乗ってもみじの手を振っている息子を見ていると、イライラも吹っ飛んだものです(笑)
    このことは、さまざまなことに応用できますよね!
    この技を習得できれば、百人力ですよ!

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